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事例・実績 庭匠霧島

創業43年の庭匠霧島。寺社仏閣、商業施設から個人のお庭の作庭からメンテナンスまで数多く手掛けている。
二代目代表取締役に星宏海氏が就任してからは、海外での活躍もめざましく数々の華やかな経歴を持つ。
しかし、ここまでの道のりには相当な苦労と覚悟があった。
さらに日本庭園の庭師には珍しく、率先して
CADを使いこなしプレゼンをしている理由とは…
代表取締役の星宏海氏にお話しをお聞きしました。


 

–星さんが庭師になったきっかけは何だったのでしょうか。


父親が1代目で庭匠霧島を起こしたこともあり、私も造園コースがある高校に通っていました。
国土建設学院の造園緑地工学科を卒業後、造園土木業の会社に入社し3年間現場監督を経験しました。

この3年間で公共工事の現場を学んだり現場監督として現場を仕切ること、パソコンの実務作業、
原価管理だったり工程管理・品質管理などを徹底的に叩き込まれた感じです。
この経験が後々の海外の大型案件につながっていたりします。」

 

 

–現場監督を経験後、庭匠霧島に戻る感じなんですね。お仕事的にはどうでしたか?


「はい25歳の時に庭匠霧島に入りました。ただ、その当時って一大ガーデニングブームで。
洋風のガーデンがとにかく流行っている時代で、和風庭園は見向きもされなかった。
仕方がないのでエクステリア業の下請け業者のような感じで仕事していました。
自分が現場監督で仕切ってた頃とは一転、今度は自分が仕切られる立場に…。
ただ、いつまでもそんなままではいられないなという気持ちも強くあり。」

 

 

–なにか打開策があったのでしょうか?


「やっぱり日本庭園が好きで、自分ももっと作庭の技術を学びたい!と思い
自社のホームページを日本庭園の色を強く作り変えて、日本庭園協会に入会し活動をはじめました。
ブログを始めて、庭師の技や思想など全部公開したんです。
その当時はwebで発信している庭師や職人って少なくて珍しいことも相まって
ブログは結構たくさんの人が読んでくれていました。

まだまだ仕事につながるほどではなかったけど、とにかく発信していこう、と。
もっと日本庭園を盛り上げていきたい、と。
自分だけのことではなくて全体の底上げをしなければいけないと思い、
神奈川県の若手の庭師を集めて庭師集団「庭盛会」を発足しました。
互いの技術を向上させる勉強会をする組織です。」

 

 

–そこからどのように星さんの今の経歴につながっていくのでしょうか。


「そうして発信を続けているとぽつぽつと仕事が入ってくるようになってきました。
神奈川では伝統的な日本庭園を造れる会社の経営者は割と高齢な方が多く、

ホームページがない会社もたくさんあって。ただ世の中的にはwebで検索して問い合わせる
時代になってきていたので、ホームページをちゃんと構築してブログで発信していたことは
SEOにもなり、ある程度の集客効果が起きてきていました。」

 

 

–じょじょにですが、発信の効果が結びついてきたんですね。
海外でのご活躍が目ざましい星さんですが、海外進出のきっかけはなんだったのでしょうか。


一番最初のきっかけはイタリアですね。
Facebookがあまり認知されていなかった13年ぐらい前に海外に向けて発信していました。
高校生の頃から海外で仕事がしてみたいと
いう思いもあり、
Facebookを使ってひたすら自分の作品を出して声がかかるのを待っていました。
発信を続けていると、イタリアの盆栽愛好家向けのワークショップに講師で来てくれないか、
とオファーがありました。」

 

 

–狙い通りのオファーというか!


「ただそのワークショップは結構な失敗に終わってしまいました。
失敗の原因は偉そうに日本庭園の歴史を話して、
日本人の技術がどれだけすごいかを話したことだと思います。
自身の持ってる技術や伝統を押し付けてしまったこと。
相手へのリスペクトがなかったことが原因だと思っています

 

 

–あら…それは残念な結果になってしまったんですね。


「とはいえ、その機会で繋がったガーデナーが招いてくれて、
イタリアのピエモンテ州のブランディッツォにて日本庭園のワークッショップを開催し、
翌年にはイタリア・ローマ日本文化会館にてローマ市民150人に講演会を開催しました

▲イタリアでの実施工写真

 

 

–すごいですね!


「そこから定期的にイタリアで講演や授業、日本庭園の仕事をする機会が続き、
フランスからも講演や授業、日本庭園の仕事のオファーが来るようになりました。
2020年からは国交省の海外日本庭園再生プロジェクト“ロシア・モスクワ日本庭園修復計画プロジェクト”の
日本庭園協会国際活動委員として、修復プロジェクトのリーダーとなりました。
2021年にロシア・クラスノダールにて日本国外では最大規模の7.62ヘクタールの伝統的な日本建築と
伝統的な日本庭園の総合設計請負責任者に就任しました。

 

 

–そのロシアの案件は弊社のデザインサービスも設計のお手伝いをしたので存じ上げておりますが
相当な規模の案件ですからいろいろとご苦労もあったのではないでしょうか…?


「まず設計のスピード感に苦労しました。
7.62ヘクタールの基本計画が終わって、すぐの基本設計の段階で造成を始めたのです。
そしてそのまま設計期間が終わる日まで、工事と設計が同時進行で行われました。
400人の作業員が24時間工事を止めることなく動くので、設計が部分的に間に合わないとか、
ロシアの法律に沿った仕様に図面を変更したりと様々な苦労がありました。」

▲クラスノダール日本庭園パースイメージ図

 

 

–400人体制で24時間工事を止めることなく…!規模のすさまじさがうかがえます。



「現地の建築設計チームやクライアント、向こうのプロジェクトチームと週に3~4日間、
夜の19:00~0:00過ぎまで打ち合わせを行いました。
この時、RIKCADが力を発揮しました。ロシア人の建築チームやクライアント・技術者にとって
初めて見る日本人、初めての日本庭園、それも伝統的な庭園と建築…まるで何もわかりません。
私の日本建築担当のチームがライノセラスで3D化した建築をデータを
RIKCADの図面に取り込み、建築と庭の強い関係性を見事に可視化できました。
日本建築と日本庭園が分けて考えることが出来ないことを理解してもらえました。


▲クラスノダール日本庭園パースイメージ図

 

 

–施工に関してはの苦労などはありましたか?

「庭園材料もロシアへ渡航し、車で片道6時間以上かけてロシア国内の森や石の
採取場所に行き直接選ばなければなりませんでした。
植物はドイツ・イタリアに赴き、買い付けに行きました。
今回私は設計を総合請負しましたが、現地の施工があまりにも日本庭園に見えなかったので
日本の庭師3人を連れて渡航しましたが…残念ながら初期の段階で
ロシアとウクライナとの間に国際的な問題が生じ、その後渡航困難となりました。
2023年、クラスノダール日本庭園は現地の労働者によって建築されオープンしました。
日本庭園と日本建築の設計は100%伝統的なものとなり、素晴らしいものとなりましたが、
残念ながら完成した日本庭園は繊細さのないものとなってしまったのが残念です。
しかし、日本国外で世界一大きい伝統的な日本庭園を設計でき
現地のチームとイメージを可視化できたのはRIKCADがあったからこそです。」

 

 

 

–自然素材をメインで使用する庭師は手描きで設計をすることが多い印象なのですが、
星さんはCADを使いこなしていますよね。なぜCADを使うことになったのでしょうか?


「webでの発信も然りですが、やはり時代の最先端のものを使いたいという気持ちがありました。
伝統的であり続けることは革新的でもないといけないので、最先端技術を取り入れることも重要と思っています。
CADの導入を検討した時に他社CADも見ましたがRIKCADが直感的に使いやすく、導入しました。
ただ導入後は使わず2年くらい放置していて…苦手意識もあり、仕事を共にしている妻にやらせようとしてみたり(笑)
それじゃいかんと思って講習を受けて、どうにか使えるようになりました。
3Dで視覚化できるのでイメージの共有が早いです。特に共通言語ではない海外においては
ビジュアルで分かりやすく情報を共有することが重要です。おかげで提案力も強くなり、受注率も高くなりました。」

 

 


–お話を聞いていると強く「継続は力なり」ということと、情熱を注ぎ続けることの重要性を感じます…。
星さんの今後の展望などお聞かせください。


将来的には日本庭園とは違う技術を使った庭園を海外で定着させたいです。
現地の材料、現地の素材を使用してさらにそこに自分の技術を載せて作る庭園は
“新しい”庭園になるはずなんです。それが海外で定着し、日本に逆輸入のような感じで戻ってきて
日本人がまた日本の材料、素材、風土を取り込んだ庭園を愛するようになってくれれば。
時間はかかるでしょうし、その頃にはおじいちゃんになってるだろうけど…。
“みんなが心で感じる庭”というのを海外、日本、洋風、和風問わず作るのが今後の展望です。」

 

 

–今後のますますのご活躍を期待しています!

 


:取材協力:
有限会社 庭匠霧島
代表 星 宏海 ほしひろみ(庭師銘:霧島宏海 きりしまこうかい)
所在地 神奈川県高座郡

取材日 2023年6月26日

 

 

 

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