カクオ・アーキテクト・オフィス

ARCHICADを7台稼働中の株式会社カクオ・アーキテクト・オフィス。植栽素材集を取り入れどのように活用しているのか、代表取
締役の松村佳久男氏とスタッフの青嶋務氏、小野克也氏にお話を伺いました。


 

–ARCHICADを導入されたのはいつ頃でしょうか。

「9年前にARCHICADを導入しました。それまでは他社の2DCADとレンダリングソフトを使っていました。」

 

–なぜ ARCHICADを選ばれたのでしょうか。

「前提として、Mac環境でスムーズに動作することが条件でした。またアトリエ事務所として、
建築の機能性とデザイン性を効率良く検証でき、操作が理解しやすく余分な機能がないこと。
やり込む程にクオリティの高い仕事が達成出来ることです。

 

–それまでの2DCADとは使用感も全く違うでしょうし、運用に至るまではどれくらいの期間がかかりましたか。

松村「丁度、各プロジェクトの実施設計が完了するタイミングが一致し、移行期間を一ヶ月と限定して、全員で取り組みました。
導入にあたって私からの条件は、何があっても以前のCADには戻らないこと。
今まで以上に規模の大きなプロジェクトに積極的に取り組むことでした。近い将来、3D設計の時代が来るとスタッフ全員が意識していたので、
導入に対しての学ぶ意欲は高く、さほど抵抗なく取り組めました。
また、他メーカーには無いグラフィソフト社の手厚いサポート体制も安心出来ました。」

 

–現在は何台、稼働してますか?

「オフィスでは5台稼働しています。ノートパソコンを持ち出してお施主様や現場との打ち合わせに2台。
また、チームワーク機能を利用してプロジェクトチームで取り組んでいるので、
外部でお手伝い頂いている事務所ともスムーズに作業を共有しています。」

 

–積算には役立てていますか?

「まだ役立てられていません。従来通り積算は出力した2D図面から拾い出しをしてもらっています。
いつか、BIMデータを渡すだけで、積算、計画、施工管理までしっかり実行して頂ける建設会社とご一緒したいと思っています。
まだまだ、これからの課題ですね。」

 

–お客様への提案はどのようにされていますか?

「ご来社頂き、100インチの大型スクリーンに図面やCGをプロジェクターで投影してプレゼンします。
図面、CGパース、CGウォークスルーを体感し、提案の良さを実感して頂きます。
私の持論ですが、提案の際に大事なのは「3H」だと思っています。」

 

–「3H」とはなんですか?

「“Haa・Hoo・Hee”です(笑)。お客様は我々の提案をスクリーンで体感し、
“驚いて、は~~(Haa)、関心して、ほ~~(Hoo)、納得して、へ~~(Hee)”っと
思わず声が出てしまうのです。お客様から「3H」が得られたプロジェクトは必ず成功します!!(笑)

 

–弊社の「3D植栽素材集」をお使い頂いていますが、どういった時に活用されていますか?

「購入したのは、某デベロッパー様からご依頼頂いた、高級分譲マンションのデザイン監修の時です。
平安時代の寝殿造をイメージした邸宅マンションの屋上庭園を、ランドスケープデザイナーとのコラボレーションで実現しました。
ARCHICAD標準の3Dデータでは樹種が少なく、造園デザインの意図や良さがうまく表現出来ずにいました。
RIKの植栽素材集によって、ようやく施主に伝わるプレゼンが達成したと思っています。
常にCGで空気感を表現したいと思っており、満足度の高い仕上がりになりました。
不動産販売の担当者にも好評で、これは売上に繋がるととても評価が高かったです。
設計やデザインは良いのに、CGの出来栄えが中途半端な為に、その良さが伝わらない残念な場合があります。
やるからにはやり込まないと結果に繋がらないというのが、CG表現を使う場合の要注意点です。」

▲屋上庭園パース

 

–「3D植栽素材集」の樹木はランドスケープデザインの提案にお使いですか?

松村「使います。我々は窓からの景色も空間の一部と考えているので、エクステリアやガーデン、ランドスケープのデザインはとても重要です。
着座した時、窓からどう見えるか、日の入り方や、影の出来方、照明の効果はどうなのか。
ご利用のお客様の心理、居心地が快適かどうか常にCGで検証しています。

 

–ガーデンの設計も社内で行われているのでしょうか?

松村「社内の場合もありますし、デザイナーとコラボする場合もあります。
お客様のご要望にもよりますが、選定する植栽や、庭のしつらえをどう設定するかで
建築空間のクオリティに大きな影響を与えると思っています。」

 

–コラボする場合もあるんですね。アトリエ事務所として一早く3D設計の手法を確立されたと聞きました。
御社の取り組みについて特徴をお聞かせ願えますか?

松村「弊社はおかげさまで創立20周年を迎えました。年々お客様のご要望も変化しています。
特に平成不況を経験されたお客様は何事においてもシビアですし、絶対に間違いのないものをとお求めになります。
我々は単なる設計技術者ではなく、部分と全体を意識したセンスの良いトータルコーディネートを提供します。
お客様に『そんなことまで一緒に考えて頂けるのですか?』と感心されることも多いのですが、良いデザイン、
良い空間を実現する為には労を惜しまず、やわらかい発想とアイデア、着眼点で取り組むことが使命だと思っています。
仕事は大変ですが、とてもやり甲斐があり、面白く取り組んでいます。」


▲施工事例


▲施工事例


取材日 2017年2月25日


:取材協力:
カクオ・アーキテクト・オフィス
代表 松村佳久男
所在地 京都府京都市


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